天の川銀河パッチワーク 夏・秋編  〜いて座からカシオペヤ座の流れに散らばる星雲・星団案内〜

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銀経110°〜140°
カシオペヤ座領域


 最も北寄りを流れる領域です。写真のわずかに上に外れたあたりに北極星が位置します。
 カシオペヤ座を貫く天の川は淡く,さらに銀経が増える方向(左方向)には冬の星座が続き,ますますその輝きは淡くなっていきます。
 写真に写っている多くの赤い散光星雲はHα線を放つ水素ガスで,肉眼で認めることはできません。 このあたりには双眼鏡などでも楽しめる,散開星団が非常に多く分布するのが特徴です。

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銀経90°〜110°
ケフェウス座領域


 すぐ右側のはくちょう座から続くこのあたりの天の川は,それまで明確に認められた,中央を貫き,ふたまたに見えた天の川が合流する領域です。
 肉眼ではぼんやりしたひとつの流れにしか見えませんが,写真では暗黒帯が非常に複雑に入り組んでいる様子が認められます。
 はくちょう座の北アメリカ星雲と同様,この領域で最も目立つのは,巨大な円形の散光星雲であるIC1396です。 この付近にはそのほかにも淡い散光星雲が漂っており,いて座付近ほどではないものの,星間物質が非常に豊富であることがわかります。


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銀経60°〜90°
はくちょう座領域


 夏の天の川に浸る美しい星座,はくちょう座付近の天の川は,中央を横切る暗黒帯により二分されたように見えます。この暗黒帯は,銀河系中心方向のいて座に向かってますます幅が広くなり,発達していきます。
 この領域の天の川の中で最も目立つのは,デネブ付近の北アメリカ星雲とその周辺に広がる淡い散光星雲です。北アメリカ星雲の東側(左下)と西側(右上)の両脇に,非常に淡い星雲が広範囲に渡って認められます。 はくちょう座の半分近くを占めるこの巨大なガス領域は,銀河系空間内でも互いに関連を持った星間物質で,北アメリカ星雲はこのガスの中で特に明るい一部分であると考えられています。


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銀経20°〜60°
たて座,わし座領域


 天の川の中央を真っ二つに分ける暗黒帯が非常に目立つ領域です。この暗黒帯は大きく蛇行し,西(写真の上方向)に向かって大きくカーブしている様子がわかります。 すぐ右側の領域は銀河系の中心方向にあたり,いくつもの散光星雲が散らばります。また,左側の高銀経エリアにも多くのHα星雲が広がっています。 しかしなぜかこの領域には目立った散光星雲がほとんど見られません。
 そのかわり,たて座からわし座にかけて流れる天の川には,様々な暗黒星雲が分布します。その多くは双眼鏡を使って肉眼でも楽しめます。


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銀経 〜20°
いて座領域


 銀経0°は銀河系の中心方向にあたり,いて座の南部に位置します。このあたりの天の川は全天で最も明るくて幅も広く,数多くの星雲・星団も見られます。 この領域の天の川の日本での南中高度が30度弱しかないのは,とても残念なことです。
 たくさんの美しい散光星雲ばかりでなく,銀河系内空間に浮かぶ複雑な暗黒星雲も非常に発達しているのが特徴です。特に西側(写真の上側)には網目状の暗黒帯が目を引きます。 写真の上の端に写っているさそり座のアンタレスに向かって,発達した暗黒帯が流れている様子がわかります。


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