2018/12/15のウィルタネン彗星のスペクトル



光学画像
 (白い枠はスペクトル撮像時のスリット位置を示す)

撮影日時:2018年12月15日 24:04 (露出1分)
光学系:ミード25cmシュミットカセグレン+レデューサレンズ (1250mm, F5.0)
ミードLX200赤道儀+Pictor 201 XTにて完全自動ガイド
冷却CCDカメラ:SBIG ST-402ME (冷却温度-25℃)
撮影地:山梨県北杜市大泉町



スペクトル画像と強度分布

撮影日時:2018年12月15日 24:01から24:04 (露出3分)
光学系:ミード25cmシュミットカセグレン (2500mm, F10.0)
+SBIG DSS7分光器 (スリット幅0.05mm)
ミードLX200赤道儀+Pictor 201 XTにて完全自動ガイド
冷却CCDカメラ:SBIG ST-402ME (冷却温度-25℃)
撮影地:山梨県北杜市大泉町



撮影メモ: 2018/12/15のウィルタネン彗星の光学画像と,分光器によるコマのスペクトル画像を取得しました。
彗星のコマにはスワンバンド(swan band)と呼ばれる炭素分子(C2)に由来する複数の発光帯が可視光領域内に観測されます。 より高分解能な分光器を使うと,これらの発光帯は多数の輝線の集合であることがわかります。 彗星のコマがカラー写真で緑色に写るのは,5100Å付近に位置する最も強いスワンバンドのためです。 このC2分子は,1996年に百武彗星(C/1996B2)で初めて確認されたアセチレン分子(C2H2)から,以下のような太陽光による光解離過程で生成されたものと考えられています。
C2H2 ⇒ C2H + H ⇒ C2 + H + H
また可視光スペクトルの中には,他にシアン(CN),アンモニアラジカル(NH2)に起因する輝線スペクトルが見られます。
今回のウィルタネン彗星は,地球に接近したもののコマの表面輝度が低く,十分なSN比のスペクトルが得られませんでした。 過去に取得した以下の明るい彗星のスペクトルには,より詳細な分布が記録されています。
C/2013UC10カタリナ彗星 (2016/1/9)
C/2014Q2ラブジョイ彗星 (2014/12/29)
C/2013R1ラブジョイ彗星 (2013/12/1)
C/2009P1ガラッド彗星 (2012/1/29)




2018/12/29のウィルタネン彗星

2018/12/14, 15のウィルタネン彗星


御意見,御感想をお聞かせください。 →メールはこちらまで・・・

Copyright(c) 2018 by Naoyuki Kurita, All rights reserved.
ホームページ 彗星写真集