冬の星雲・星団めぐり
NGC1999, IC430とハービック・ハロー天体(オリオン座の反射星雲)


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撮影日時:2023年12月9日 25:17から27:16にかけての10分露出6コマコンポジットの
2フレームをモザイク合成
光学系:ビクセン20cmバイザック,レデューサ使用 (f=1278mm, F6.4)
アイダスLPS-D1光害カットフィルタ使用
タカハシJP赤道儀+SBIG STVにて完全自動ガイド
CMOSカメラ:ZWO ASI2600MC Pro (冷却温度-25℃)
撮影地:山梨県北杜市大泉町

カメラ設定:記録フォーマット…16bit FITS→16bit TIFF(6248×4176)変換
撮像サイズ…23.5×15.7mm,ゲイン…100



NGC1999/反射星雲,タイプ1 E
赤経05h 36m 30.0s (2000.0)
赤緯-06°42' 00" (2000.0)
見かけサイズ約1'
実サイズ0.9光年
等級10.0等
距離1500光年
その他のIDIC427-428, LBN979
IC430/反射星雲,タイプR
赤経05h 38m 40.0s (2000.0)
赤緯-07°09' 00" (2000.0)
見かけサイズ15.5×6.2'
実サイズ6.3×2.5光年
等級 -
距離1400光年
その他のIDIC429
撮影メモ: 写真の右上に見える,オリオン大星雲(M42)のわずか1度南南東に位置する小型の反射星雲がNGC1999です。星雲全体の視直径は約1分ほどしかありません。
この星雲は,背景の光っている星雲の手前に暗黒星雲の塊があり,まるでリングのような形をしていることがわかります。 星雲の東側にV380という生まれたての10.5等級の星がくっついており,この星の光を受けてNGC1999全体が輝いています。 2000年1月にハッブル宇宙望遠鏡(HST)がNGC1999の見事な画像を撮影し,この目立たない天体を一躍有名にしました。 太陽系からの距離は約1500光年,オリオン・アソシエーションの中に位置しています。
このNGC1999の2分ほど南に離れたあたりに,かすかな赤い星雲があります。 ここには生まれたての恒星のグループとそれを囲む濃密な星間ガスがあり,これらの星のエネルギーによって2つのジェット状の構造がそれぞれ反対方向に噴き出しています。 こういった天体は1950年ごろ,ハービック(George Herbig) とハロー(Guillermo Haro)の二人の天文学者により初めて見出され,「ハービック・ハロー天体 (Herbig-Haro object: HH)」と呼ばれています。 ガスの噴出速度が秒速数100kmにも及ぶ,非常に活動的な天体です。これは初めて発見されたハービック・ハロー天体で,HH1, HH2という番号が与えられています。 現在,全天には多数のHH天体が確認されています。
NGC1999の約50分南東に見える輝星は5等級のオリオン座49番星です。この星のすぐ北西側(右上)に見える,三角形の形状の星雲はIC430です。 この星雲の北西の先端部には,オリオン座V883という原始星の存在が明らかになっており,その年齢はわずか50万年ほどと推定されています。

NGC1999付近の拡大画像
NGC1999付近の拡大画像

NGC1999の南に位置する一対のガス状天体がHH1とHH2。
IC430付近の拡大画像
IC430付近の拡大画像

オリオン座49番星の北西に伸びるIC430先端にV883が位置する。




NGC1973

NGC2022


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