秋の星雲・星団めぐり
クエーサー3C48 (さんかく座)



撮影日時:2014年10月18日 25:34から25:41にかけての3分露出3コマをコンポジット
光学系:ミード25cmシュミットカセグレン (2500mm, F10.0)
ミードLX200赤道儀+Pictor 201 XTにて完全自動ガイド
冷却CCDカメラ:SBIG ST-402ME (冷却温度-20℃)
撮影地:山梨県北杜市大泉町




QSO 3C48/クエーサー
赤経01h 37m 41.3s (2000.0)
赤緯+33°09' 35" (2000.0)
見かけサイズ-
赤方偏移0.367
等級16.5等
距離約46億光年
所属する銀河群-
その他のID-
さんかく座の系外星雲・M33の約2.5度北に潜むクエーサー(準星)3C48の光学画像とそのスペクトルです。 16.5等ほどの明るさの3C48は1960年に発見されましたが,当時,そのスペクトルの説明はできませんでした。 その後1963年に全天で最も明るいクエーサーである3C273が発見され,極めて大きな赤方偏移を持つことがわかり,この3C48も同類の天体であることが確認されました。 よって3C48は最初に発見されたものの,最初にクエーサーと確認されたのは3C273ということになります。



クエーサー3C48のスペクトル



6600〜7000Å付近の拡大
撮影日時:2014年11月15日 19:50から20:21にかけての30分露出の2コマをコンポジット
光学系:ミード25cmシュミットカセグレン (2500mm, F10.0)
+SBIG DSS7分光器 (スリット幅0.25mm)
ミードLX200赤道儀+Pictor 201XT にて完全自動ガイド
冷却CCDカメラ:SBIG ST-402ME (冷却温度-25℃)
撮影地:山梨県北杜市大泉町




輝線O IIIO III
観測波長 λm6690Å6790Å6871Å
文献値 λ04861.3Å4959Å5007Å
z0.3760.3690.372
後退速度 v (km/s)9.266×1049.129×1049.195×104
推定距離 D41.38億光年40.76億光年41.04億光年
(平均)41.06億光年

z = ( λm - λ0 ) / λ0
v = c × (( 1 + z )2 - 1 ) / (( 1 + z )2 + 1 )
D = 3.26 × v / H0 (100万光年)
  (c : 光速,H0 = 70 km/s/Mpc)
上のグラフはクエーサー3C48のスペクトルを取得し,波長の強度分布を示したものです。 6300 Å付近の輝線は地球大気の酸素に由来するものです。
 3C48の赤方偏移は極めて大きく,水素原子に由来するHα線(6563 Å)は赤外領域に入っていて観測できません。 不明瞭ながら,Hβ線と2本のO III線と思われる輝線が6700〜6900 Å付近に確認できます。 右の表にはこれら3本の輝線の観測波長から求めたクエーサーまでの距離を示しています。 ハッブル定数H0 = 70 km/s/Mpcとすると, 約41億光年という,途方もない遠距離であることがわかります。




マフェイI, II

M34


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