NGC7293のスペクトル
分光器のスリット位置(北が上)
A, Bは下の2本のプロファイル取得位置に対応
A:NGC7293のリング部,B:中空部のプロファイル
撮影日時:
2013年9月28日 25:11から25:14にかけての3分露出の2コマをコンポジット
光学系:
タカハシ12.5cmフローライト屈折,口径100mmに絞る (1000mm, F10.0)
+SBIG DSS7分光器 (スリット幅0.05mm)
ビクセンアトラクス赤道儀にて自動ガイド
冷却CCDカメラ:
SBIG ST-402ME (冷却温度-10℃)
撮影地:
山梨県北杜市大泉町
※グラフに貼り付けた上段のストリップはスペクトルの取得画像,
下段は各部分の3ピクセル幅を引き伸ばして擬似カラー処理したもの
Hα付近の拡大図
(上:リング部,下:中空部)
●
…測定値
―
…Hα,N II線のガウス分布曲線
―
…3線の合成強度曲線
NGC7293(らせん星雲)のスペクトルと,その波長の強度分布を示したものです。
ここに示した2組のプロファイルは,それぞれが白で示したAがNGC7293のリング部,黄色で示したBが中空部に相当します。
NGC7293は表面輝度が低いため,短波長側のS/Nが悪いですが,電離酸素(O III),水素原子のHβ線等の輝線が確認できます。 それらの特性には両部分の目立つ差異は見られませんが,Hα線部分の特性に大きな差が見られます。 Hα線の近傍には2本の電離窒素N II(6548, 6583Å)に由来する輝線があり,リング部(A部)はこのN II線が支配的です。 それに対して,中空部(B部)のプロファイルはHα線の強度がN II線を凌駕しています。
右側に2つ上下に並べたプロファイルは,それぞれリング部(A部)と中空部(B部)における,Hα線付近の拡大図です。 各輝線のプロファイルがガウス分布(標準偏差σ=8Å)に従うと仮定し,測定結果にフィッティングした計算結果を実線で描いています。 両部分のHα線の強度は1000カウント前後で大きな違いはなく,2本のN II線のカウント数に大きな違いがあることがわかります。 これらの結果は,Hα線を発する電離水素原子,およびO III線を発する電離酸素原子は星雲全体に球状に分布するのに対して,電離窒素原子はリングを構成する外殻部に偏って分布していることを示唆します。 同様の傾向は,こと座の
リング星雲(M57)のスペクトル
でも観測されます。
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