M57のスペクトル




上:M57のリング部,下:中空部のプロファイル

撮影日時:2012年1月28日 28:42から28:47にかけての5分露出2コマをコンポジット
光学系:ミード25cmシュミットカセグレン (2500mm, F10.0)
+SBIG DSS7分光器 (スリット幅0.05mm)
ミードLX200赤道儀にて自動ガイド
冷却CCDカメラ:SBIG ST-402ME (冷却温度-25℃)
撮影地:山梨県北杜市大泉町

※各グラフ中に貼り付けた上段のストリップはスペクトルの取得画像,
下段は各部分の3ピクセル幅を引き伸ばして擬似カラー処理したもの
Hα付近の拡大図
(上:リング部,下:中空部)
…測定値
…Hα,N II線のガウス分布曲線
…3線の合成強度曲線



M57のスペクトルと,その波長の強度分布を示したものです。
撮像に使用した光学系では分光器のスリットはM57の直径以上の長さがあり,その断面のスペクトルが取得されています。 各輝線は上下にこぶのある形状をしていますが,このこぶがリングの部分に相当し,それらにはさまれた部分がリング内部の中空部に相当します。 ここに示した2組のプロファイルは,それぞれ上がリング部,下が中空部に相当します。
電離酸素(O III),水素原子のHβ線等の輝線の特性には両部分の目立つ差異は見られませんが,Hα線部分の特性に大きな差が見られます。 Hα線の近傍には2本の電離窒素N II(6548, 6583Å)に由来する輝線があり,リング部はこのN II線が支配的です。 それに対して,中空部のプロファイルはHα線の強度がN II線を凌駕しています。
各プロファイルの右にはHα線付近の拡大図を示しています。 各輝線のプロファイルがガウス分布(標準偏差σ=8Å)に従うと仮定し,測定結果にフィッティングした計算結果を実線で描いています。 Hα線の強度を100%とした場合,6548Å, 6583ÅのN II線の相対強度はそれぞれ,リング部は81%と181%,中空部は18%と29%となります。 これらの結果は,M57の中心部と外殻部に含まれる,星間ガス成分の違いを反映していると考えられます。



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