M27のスペクトル




上:M27の北端部,下:内部のプロファイル

撮影日時:2016年7月9日 25:27から2分露出
光学系:ミード25cmシュミットカセグレン (2500mm, F10.0)
+SBIG DSS7分光器 (スリット幅0.05mm)
ミードLX200赤道儀にて自動ガイド
冷却CCDカメラ:SBIG ST-402ME (冷却温度-15℃)
撮影地:山梨県北杜市大泉町

※各グラフ中に貼り付けた上段のストリップはスペクトルの取得画像,
下段は各部分の3ピクセル幅を引き伸ばして擬似カラー処理したもの
Hα付近の拡大図
(上:北端部,下:内部)
…測定値
…Hα,N II線のガウス分布曲線
…3線の合成強度曲線



M27のスペクトルと,その波長の強度分布を示したものです。
ここに示した2組のプロファイルは,それぞれ上が星雲の北端部,下が星雲内部の分光特性で,右の写真の矢印で示した位置に相当します。
カラー写真からわかるように,M27は内部が青っぽいのに対して外殻部は赤味が目立ちます。 プロファイルにもこの違いが現れており,星雲内部は緑色の電離酸素(O III)の強度が最も強いことがわかります。 また,各プロファイルの右には赤いHα線付近の拡大図を示していますが,星雲の両部分の特性に大きな違いが見られます。 Hα線近傍には2本の電離窒素N II(6548, 6583Å)に由来する輝線があり,北端部はこのN II線が支配的です。 それに対して,星雲内部のN II線の強度はHα線とほぼ同じです。
各輝線のプロファイルがガウス分布(標準偏差σ=8Å)に従うと仮定し,測定結果にフィッティングした計算結果を実線で描いています。 Hα線の強度を100%とした場合,6548Å, 6583ÅのN II線の相対強度はそれぞれ,北端部は133%と330%,星雲内部は50%と120%となります。 これらの結果は,M27の中心部と外殻部に含まれる,星間ガス成分の違いを反映していると考えられます。

分光器のスリット位置(北が上)



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