M106のスペクトル



撮影日時:2023年2月25日 23:05から23:25にかけての10分露出3コマをコンポジット
光学系:ミード25cmシュミットカセグレン (2500mm, F10.0)
+SBIG DSS7分光器 (スリット幅0.05mm)
ミードLX200赤道儀+Lacerta M-GENにて完全自動ガイド
冷却CCDカメラ:SBIG ST-402ME (冷却温度-25℃)
撮影地:山梨県北杜市大泉町

※上段はスペクトルの取得画像,下段は擬似カラー処理したもの



輝線O IIIS II
観測波長λm6574 Å5012 Å6734 Å
文献値λ06562.9 Å5007 Å6730 Å
z1.242×10-39.986×10-45.944×10-4
後退速度 v3.722×102 km/s2.994×102 km/s1.783×102 km/s
推定距離 D1734万光年1394万光年830万光年
(平均)1319万光年

z= (λm0)/λ0
v= c*((1+z)2-1)/((1+z)2+1)
D= 3.26*v/H0 (100万光年)
  (c: 光速,H0=70 km/s/Mpc)
M106中心部のスペクトルを取得し,波長の強度分布を示したものです。
セイファート銀河のひとつであるM106中心部の活動領域に含まれる星間ガスに由来して,プロファイルには水素原子によるHα線の他,電離酸素による輝線が確認されます。 右の表にはこれらの波長の赤方偏移から求めたM106までの距離を示しています。ハッブル定数H0=70 km/s/Mpcとすると,約1300万光年と求まります。 現在求められている距離(2100万光年)に比べて過少ですが,近距離の銀河の後退速度には宇宙膨張以外の要因を含むため,誤差が大きいと考えられます。


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