TEST REPORT
カシオQV2800UX デジタルカメラで
天体写真
カシオQV2800UX---


 ここで御紹介するのはカシオ製の200万画素デジカメ・QV2800UXを使って撮影した天体写真の作例です。 開放F値は3.2で明るくはありませんが,光学8倍ズームレンズ,60秒まで設定可能なマニュアル露出モードを搭載している他, インターバル撮影モードによる複数コマの自動撮影ができ,コンポジット処理が基本である天体写真に応用できるユニークな機能を備えています。
 レンズが暗いため,カメラ単体での星野撮影には不向きですが,望遠鏡と組み合わせた小型の天体のコリメート撮影にはかなりの好結果が得られるようです。
 順次,ここにも新作品を追加しますが,並行して常設写真集にもこのカメラによる作品を追加していく予定です。



 ※ここに掲載している写真はすべて1600×1200のフルサイズで撮影し,ノートリミングで640×480に縮小しています。
(ファイルサイズは各15〜50KB)


1. 薄暮の作例写真

薄明下の有明月と金星 薄明が始まった夜明けの東の空にかかる有明月と明けの明星・金星を捉えたもの。長野県小海町で撮影。
2001年5月19日 3:55 露出3.2秒
レンズ焦点距離6.2mm F3.2
CCD感度ISO80相当,ホワイトバランス:太陽光
画像処理は行っていない

2. 月面の作例写真

月面南部 ビクセン製アダプターでカメラを望遠鏡の接眼部に接続し,月齢18の南半分を捉えたもの。山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2001年5月12日 2:04 露出1/183秒,レンズ焦点距離6.2mm F3.2 (絞り優先モード)
ミード25cmシュミットカセグレン,LV25mmアイピース(100倍)でコリメート撮影
合成焦点距離620mm(35mmフィルム換算4130mm)
CCD感度ISO80相当,ホワイトバランス:太陽光
ステライメージ3にてウィーナフィルタによる画像復元,アンシャープマスク処理

3. 惑星の作例写真

金星 5コマをコンポジットした白昼の金星。このカメラは1/2000秒までの高速シャッターを切れるので,シーイングの状況により,こういった明るい被写体の撮影には有利。 山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2001年5月18日 10:05〜09 露出各1/640秒,レンズ焦点距離12.4mm(デジタル2倍ズーム併用) F3.2
ミード25cmシュミットカセグレン,LV5mmアイピース(500倍)でコリメート撮影
合成焦点距離6200mm(35mmフィルム換算41300mm)
CCD感度ISO80相当,ホワイトバランス:太陽光
Photoshop 4.0にて5コマをコンポジット,レベル調整,アンシャープマスク処理

木星 7コマをコンポジットした木星。大赤斑がかすかに認められるが,シーイングが悪く,不鮮明。山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2001年10月27日 24:15〜16 露出各1/13秒,レンズ焦点距離46.8mm F3.5
ミード25cmシュミットカセグレン,LV25mmアイピース(100倍)でコリメート撮影
合成焦点距離4680mm(35mmフィルム換算31174mm)
CCD感度ISO160相当,ホワイトバランス:太陽光
Photoshop 4.0にて7コマをコンポジット,レベル調整,アンシャープマスク処理

土星 7コマをコンポジットした土星の画像。カシニの空隙が何とか認められる。山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2003年1月12日 22:31 露出各1/4秒,レンズ焦点距離47mm F3.5
ミード25cmシュミットカセグレン,LV12mmアイピース(208倍)でコリメート撮影
合成焦点距離9776mm(35mmフィルム換算64521mm)
CCD感度ISO320相当,ホワイトバランス:太陽光
Photoshop 5.5にて7コマをコンポジット,レベル調整,アンシャープマスク処理

4. 星野の作例写真

しし座 広角側で撮影したしし座の全景。長時間露出時,カメラが自動的にダークノイズ除去処理をしてくれる(ただし露出と同じ時間が必要)。山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2001年4月27日 23:04〜23:09 露出各60秒
レンズ焦点距離6.2mm F3.2
CCD感度ISO320相当,ホワイトバランス:太陽光
ステライメージ3で2×2ソフトビニング処理した5コマコンポジット,レベル調整,スターシャープ・バックグラウンドスムース処理

さそり座といて座 「インターバル撮影モード」を用い,1分間隔で8コマを自動撮影して作成したさそり座・いて座付近の広角星野画像。撮影中カメラの前にいる必要がなく,非常に効率的。 外気温が高く(約8℃),かなりノイジーになった。冬季に氷点下の環境で再テストしたいところ。長野県小海町で撮影。
未処理画像
2001年5月18日 24:01〜24:23 露出各60秒
レンズ焦点距離6.2mm F3.2
CCD感度ISO320相当,ホワイトバランス:蛍光灯
ステライメージ3で2×2ソフトビニング処理した8コマコンポジット,レベル調整,スターシャープ・バックグラウンドスムース処理

M8と火星 レンズを最望遠側(35mmフィルム換算320mm)にして撮影したM8と火星付近の星野画像。上の作品と同じく,インターバル撮影モードで8コマを自動撮影した。長野県小海町で撮影。
未処理画像
2001年5月18日 25:07〜25:28 露出各60秒
レンズ焦点距離48mm F3.5
CCD感度ISO320相当,ホワイトバランス:蛍光灯
ステライメージ3で2×2ソフトビニング処理した8コマコンポジット,レベル調整,スターシャープ・バックグラウンドスムース処理

オリオン座 外気温-8℃の冬季に撮影したオリオン座付近の星野。気温が低いと明らかにノイズが減り,良好な画像が得られる。山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2002年12月14日 24:27〜24:39 露出各50秒
レンズ焦点距離6.2mm F3.2
CCD感度ISO320相当,ホワイトバランス:太陽光
ステライメージ3で2×2ソフトビニング処理した5コマコンポジット,レベル調整

オリオン座広角 コンバージョンレンズを使用して35mmフィルム換算で28mmで撮影した冬の星座の広角画像。低温下の環境では淡い冬の天の川を写しとることが可能。山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2002年12月14日 26:22〜26:49 露出各60秒
レンズ焦点距離6.2mm F3.2,ワイドコンバージョンレンズ使用
CCD感度ISO320相当,ホワイトバランス:太陽光
ステライメージ3で2×2ソフトビニング処理した10コマコンポジット,レベル調整

5. 星雲・星団の作例写真

M5 コリメート法で撮影したへび座の球状星団・M5。淡い星雲や銀河と異なり,球状星団はデジカメの得意対象のひとつ。 コンポジット枚数を増やすことで,銀塩写真にせまる画像が得られるポテンシャルを持っている。山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2001年5月13日 25:18〜25:56 露出各60秒,レンズ焦点距離6.2mm F3.2
ミード25cmシュミットカセグレン,LV25mmアイピース(100倍)でコリメート撮影
合成焦点距離620mm(35mmフィルム換算4130mm)
CCD感度ISO160相当,ホワイトバランス:太陽光3コマ+蛍光灯3コマ
ステライメージ3で2×2ソフトビニング処理した6コマコンポジット,レベル調整,スターシャープ・バックグラウンドスムース処理

キャッツアイ星雲(NGC6543) りゅう座に位置する小型の惑星状星雲・キャッツアイ星雲。表面輝度が高い惑星状星雲も,デジタルカメラを用いると銀塩より好結果が得られる。 25cmの分解能だと星雲内部のフィラメント構造がわかるはずだが,この日はシーイングが悪く,不鮮明。山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2001年5月13日 24:07〜24:22 露出各50秒,レンズ焦点距離19.1mm F3.2
ミード25cmシュミットカセグレン,LV25mmアイピース(100倍)でコリメート撮影
合成焦点距離1910mm(35mmフィルム換算12720mm)
CCD感度ISO80相当,ホワイトバランス:太陽光
ステライメージ3で2×2ソフトビニング処理した5コマコンポジット,レベル調整

M42広角 35mmカメラ用200mm望遠レンズにアイピースを付け,コリメート法で撮影した5コマをコンポジットしたM42付近の広角画像。比較的大きな対象に対して有効な簡易星野撮像システムとなる。山梨県大泉村で撮影。
未処理画像
2001年11月24日 23:46〜23:58 露出各60秒,レンズ焦点距離6.2mm F3.2
トキナーAT-X828ズーム200mmF2.8開放,LV25mmアイピース(8倍)でコリメート撮影
合成焦点距離50mm(35mmフィルム換算330mm)
CCD感度ISO320相当,ホワイトバランス:太陽光
ステライメージ3で2×2ソフトビニング処理した5コマコンポジット,レベル調整,スターシャープフィルタ処理

6. おまけ・インターバル撮影によるアニメーション

カノープスの動き 約100分間に撮影した29コマの画像から作成した,カノープスの日周運動のGIFアニメーション。山の稜線ぎりぎりに動く輝星がカノープス。街明かりの影響で,かなり緑がかった画像になった。山梨県大泉村で撮影。 (ファイル容量530KB, アナログ回線で御覧になる場合は注意)
2001年12月23日 22:56〜24:41 露出各50秒,レンズ焦点距離6.2mm F3.2
29コマをGIFアニメーション形式に編集
CCD感度ISO320相当,ホワイトバランス:太陽光

沈むオリオン座 上と同様,約4時間に撮影した33コマから作成した,西の空に傾くオリオン座と冬の星座。ワイドコンバージョンレンズを使用し,35mmフィルム換算で約28mm相当の広角画像になっている。山梨県大泉村で撮影。 (ファイル容量1040KB, アナログ回線で御覧になる場合は注意)
2001年12月23日 25:47〜28:53 露出各50秒,レンズ焦点距離6.2mm F3.2
ワイドコンバージョンレンズ使用
33コマをGIFアニメーション形式に編集
CCD感度ISO320相当,ホワイトバランス:太陽光




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